【徹底分析】中小企業診断士試験の科目別の合格率と傾向

難易度

中小企業診断士試験は、「科目合格制度」が導入されていることから、複数年計画で合格を目指すことができる国家試験です。

そのため、受験生にとって、科目別の「合格率」や「傾向」は、大きな関心事となります。

この記事では、過去14年分の統計資料をもとに、科目別の「合格率」と「傾向」を分析していきます。

難易度の区分

この記事では、各年度・各科目の難易度を次のようなルールで設定しています。

(1) 標準的な難易度の算出
 まず、統計資料に基づき、14年分の全科目の「科目受験者数」と「科目合格者数」から、「合格率」を算出し、この値を標準的な難易度とします。(「科目合格者数」には、「試験合格者数」が含まれていません。)
 214,397人 ÷ 1,266,755人 = 16.92%

(2) 難易度表の作成
次に、標準的な難易度を中心に下表のとおり、難易度を区分します。

(3) 難易度の分析
この難易度表に、各年度・各科目の合格率を当てはめて、難易度や傾向を分析していきます。

例えば、「2019年度」の「経済学・経済政策」は、科目合格率「25.80%」であるため、難易度は「易しい」と判定します。

このような作業を「14年間」×「7科目」の全てで実施し、科目ごとの難易度を分析していきます。

また、難易度の傾向については、経年推移のグラフから読み解いていきます。

経済の難易度は「易化」しやすい

経済学・経済政策は、下表のとおり難易度が「易化」しやすい科目です。

※単位は「回」
(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

14回中、「7回」の試験が、「易しい」または「やや易しい」に該当しており、これは、経営情報システムの「9回」に次ぐ多さです。

ただし、2013年度は、科目合格率「2.13%」でした。
これは、14年間の全科目の合格率の中で、「最低水準の数値」であり、多くの受験生が足止めされたのではないでしょうか。

(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

直近の傾向としては、安定的に「易化」しているという状況です。

財務の難易度は「難化」しやすい

財務・会計は、下表のとおり難易度が「難化」しやすい科目です。

※単位は「回」
(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

14回中、「8回」の試験が、「難しい」または「やや難しい」に該当しており、これは、経営法務、中小企業経営・中小企業政策とともに、最多の回数です。

特に合格率が8%未満の難易度「難しい」の回数は、全科目で最多の「5回」であることから、受験する際は、十分な対策が必要です。

(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

経年推移を見ると、2015年度を境に「易化」傾向にも思えますが、2018年度に難易度が「難しい」になるなど、依然、十分な対策が求められる科目と言えます。

どうしても、苦手な方は、得意科目と同じ年度に受験し、総得点で合格水準を目指す方法もオススメです。

理論の難易度は「標準~やや難しい」で安定している

企業経営理論は、下表のとおり、難易度が「標準~やや難しい」で安定している科目です。

※単位は「回」
(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

14回中、「5回」の試験が、「標準」に該当しており、これは最多の回数です。

また、「やや難しい」の回数も多いことから、企業経営理論の難易度は「標準〜やや難しい」で安定的に推移していると言えます。

(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

気になるのは、直近の傾向です。

2016年度に極端に「易化」しましたが、その後、「難化」傾向にあります。

グラフ全体としても、右肩下がりの「難化」傾向にあると言えそうです。

運営の難易度は「やや易しい~標準」で安定している

運営管理は、下表のとおり、難易度が「やや易しい~標準」で安定している科目です。

※単位は「回」
(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

14回中、「5回」の試験が、「やや易しい」に該当しており、これは最多の回数です。

次いで「標準」の回数が多くなっていることから、運営管理の難易度は「やや易しい~標準」で安定的に推移していると言えます。

(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

経年推移を見ると、2017年度までゆっくりと右肩下がりの「難化」傾向にあったようですが、直近2年は「易化」傾向にあります。

法務の難易度は「難化」しやすい

経営法務は、下表のとおり難易度が「難化」しやすい科目です。

※単位は「回」
(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

14回中、「8回」の試験が、「難しい」または「やや難しい」に該当しており、これは、財務・会計、中小企業経営・中小企業政策とともに、最多の回数です。

なお、経営法務は、14回の合格率の平均値が最も低い科目であり、もしかしたら「最難関科目」と言えるかもしれません。

(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

2011〜2013年度で、一時的に合格率が高くなっているものの、全体の傾向としては、右肩下がりの「難化」傾向にあります。

近年も合格率が10%を下回る傾向にあり、財務・会計と同様、十分な対策が求められる科目と言えます。

どうしても、苦手な方は、得意科目と同じ年度に受験し、総得点で合格水準を目指す方法もオススメです。

システムの難易度は「易化」しやすい

経営情報システムは、下表のとおり難易度が「易化」しやすい科目です。

※単位は「回」
(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

14回中、「9回」の試験が、「易しい」または「やや易しい」に該当しており、これは最多の回数です。

ただし、合格率が10%を下回る回数が「3回」あることから、油断禁物と言えます。

(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

直近の傾向としては、「易化」していますが、3〜5年周期で「難化」しているようにも読み取れるため、2020年度以降、注意が必要かもしれません。

中小の難易度は「難化」しやすい

中小企業経営・中小企業政策は、下表のとおり難易度が「難化」しやすい科目です。

※単位は「回」
(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

14回中、「8回」の試験が、「難しい」または「やや難しい」に該当しており、これは、財務・会計、経営法務とともに、最多の回数です。

試験の範囲が曖昧など、試験勉強のしづらさも影響してるかもしれません。

(中小企業診断協会公開の統計資料に基づき作成)

中小企業経営・中小企業政策は、合格率の波が激しいという特徴を持ちます。
「易化」の翌年度に一気に「難化」のような動きを見せています。

2019年度は「難化」していますので、2020年度は「易化」するかもしれません。

まとめ

14年分の統計資料から分析した各科目の難易度は次のとおりです。

■易化しやすい 経済学・経済政策、経営情報システム

■標準的    企業経営理論、運営管理

■難化しやすい 財務・会計、経営法務、中小企業経営・中小企業政策

コメント

タイトルとURLをコピーしました